実際の税金はいくら戻ってくるのか?
不動産を購入する場合、ほとんどの方は住宅ローンを利用されると思います。
住宅ローンを利用して居住用の不動産を住宅ローン利用して購入した場合、住宅ローン控除という制度が利用できます。
住宅ローン控除は、住み始めてから10年間(2019年10月~2020年12月で、消費税10%の人は13年間)にわたって、自宅の住宅ローン残高の1%が、所得税と住民税の一部から引かれる制度です。
高性能住宅と言われる「長期優良住宅・低炭素住宅」ならば年50万円×10年=500万円と、かなり控除額があり魅力的な制度と言えます。
しかしながら1年目は確定申告をしなければならないなどの煩わしさがあったり(2年目以降はサラリーマンであれば年末調整で会社が処理してくれます。)し、条件が当てはまれば全額控除なんてこともありますが、年収がそこそこないと実際の控除額は思ったほど多くなかったり何てケースも少なくありません。
では、住宅ローン控除でいくら税金が戻ってくるのか、実際に払っている利息との関係から、実際にどの位得をしているのか?その損得計算から繰上返済をどう考えるべきなのかをお話したいと思います。
住宅ローン控除の対象 になる条件とは?

どんな住宅が対象になるのか?
まず、控除を受けらる条件ですが、住宅ローン控除を受けるためには、以下のような条件があります。
①自らが居住する住宅であること
住宅ローン控除はマイホームとしての取得が要件の1つとなっています。住宅の引き渡し、あるいは工事の完了から6ヵ月以内に住むことが条件であり、住民票を移すことが必要です。投資用物件や親族の家などには適用されません。
②住宅ローンの借入期間が10年以上
9年以下の短期ローンでは控除されません。
③床面積が50平方メートル以上
床面積が50平方メートル以上の広さがあることが要件です。戸建ては各階の床面積の合計、マンションの場合は専有部分の床面積で判断します。
④住宅ローンの適用を受ける年の年収が3,000万円以下であること
1年でも合計所得金額が3,000万円を超えた場合、それ以降の年は住宅ローン控除を受けられません。住宅ローン契約年の年収が3,000万円以上であれば、初年度から控除が受けられないことになります。
また、中古住宅の場合で鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造などの耐火建築物で築25年以内、非耐火建築物で築20年以内や増改築の場合で工事費100万円以上の場合も対象になります。
実際のローン控除額はいくら位なの?

いくら位控除されるのか?
住宅ローン控除額は年末に金融機関から送られてくるローンの残高証明書を確認してその残高の1%が上限金額になります。
あくまでもこれは最大額なので実際のところ1%を控除できるケースは少ないと思います。
では、具体的に控除額がどのくらいになるのか、計算例でご説明します。
<シュミレーションの条件設定> 年末時点のローン残高:3,500万円 税込年収:500万円 所得税額:14万円 住民税 :14万円 |
最大控除額は年末時点のローン残高の1%
3,500万円×0.01=35万円
1. 所得税から控除
まずは所得税から住宅ローン控除額を引きます。
所得税額14万円-住宅ローン控除35万円=-21万円(住宅ローン控除残額)
2. 所得税から控除しきれない額は住民税から控除
所得税から控除しきれない分を住民税から控除する場合は、所得税の課税総所得金額等の額の7%、または13万6,500円のうち小さいほうの額が上限になります。
今回の場合、課税総所得金額の7%で500万円×0.07=35万円となり、13万6,500円のほうが額が小さいため、住民税からの控除最大額は13万6,500円が採用されます。
住民税14万円-13万6,500円=3,500円(住民税支払額)
所得税分14万円+住民税分13万6,500円=27万6,500円(総控除額)
元々の住宅ローン控除額である35万円のうち、27万6,500円が控除できるという計算になりました。
支払利息とローン控除額の比較

支払利息と控除額の比較
「住宅ローン減税と繰り上げ返済のどちらを優先したほうが良いですか?」という質問を受けます。
実際は控除額と支払金利を比較してシュミレーションをしてみないと何とも言えませんとしかお答えができません。
なので、先程「実際のローン控除額はいくらなの?」で利用したシュミレーションを使って比較したいと思います。
<シュミレーションの条件設定> 借入額 :3,500万 返済期間:35年 税込年収:500万円 所得税額:14万円 住民税 :14万円 |
先程のケーススタディを引用すると、所得税と住民税で27万6,500円がお金が戻ってくると考えてみましょう。
この場合、例えば変動金利0.5%で借りている方は、最初の10年間はお金があったとしても繰上返済せずに現金を手元に残しておく方が、得をする可能性が高くなります。
初年度の支払利息は17万円でしかありませんが、税金が27万円ほど戻ってくるのであれば、その方が特になります。
ただ、ローンの残高が3,000万円以上残っていれば、上限の30万円のローン控除が使える訳ですから、早い段階で繰上返済する方が、支払利息も減らせるし、ローン控除で戻る税金もそのままでいいのではないかとも思えます。
しかしながら、10年目まで同じことが言えるかどうかは分かりません。
実際に10年目のローン残高は計算上3,431万円程度となりますが、早い段階で繰上返済しますと、残高は2,500万円を切る事もあるからです。
このケースで考えると、安い金利で借りている場合は、10年間は繰上返済せずに現金を貯めておくという方が得策ということになります。
まとめ
今回のケースでは住宅ローン控除の方がお得ということでご紹介しましたがあくまでも一例です。
実際は色々なシュミレーションが必要になりますので専門家にご相談されることをお勧めいたします。
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