中古マンション購入時の修繕積立金は必ず確認するべし!

マンションを購入する場合、必ず毎月、住宅ローンとは別に管理費と修繕積立金を支払う必要があります。分かりやすく言うと、管理費とは共用部分などのマンション全体を日々、維持・管理する費用の事で、所有者が管理会社に毎月支払うものです。修繕積立金は、長い目で見て10年・20年先のマンションを維持して行くために必要なメンテナンスに備えて所有者がその修繕費用を、管理組合を通して積み立てるものです。

管理費に含まれるもの

・管理会社への業務委託

・契約している清掃会社への業務委託費

・共用部分の清掃費、ごみ処理費

・共用設備の保守点検費

・エントランス、中庭などの植栽の維持管理費

・共用部分の消耗品費(電球交換など)

・共用部分の電気代、水道代

・共用部分に関わる火災保険料や損害保険料

・事務管理業務費(総会の案内や決議事項などの書類作成費等)

・管理組合の運営費

修繕積立金に含まれるもの

・外壁の改修工事費

・屋根、屋上の改修工事費

・手すりなどペンキ塗り替え費

・給排水管の取り替え工事費

・受水槽の取り替え工事費

・地震、台風など天災による被害の修繕費

・集合ポストの取り替え、駐車場・駐輪場の増設など共用部分の変更

どうして修繕積立金が不足するのか?

修繕積立金とは、所有者全員でマンションの将来のために積立貯金をするイメージです。積み立てたお金で将来の大規模な修繕に備えのですが、現状では多くのマンションで修繕積立金が不足するという事態が生じているのです。

万が一、積立金が不足するような場合、それぞれの所有者が不足分を拠出して修繕できればベストなのですが、マンション所有者全員が足並みをそろえて不足金を出せるというケースは非常にまれです。したがって、管理組合自体がでローンを組むことで大規模修繕にかかる費用を支払い、修繕積立金を値上げすることでローン返済をしていく方法もありますが、正直なところこの方法もあまりうまくいかないことが現状です。当たり前の話ですが当初、毎月1万円程度だった修繕積立金がいきなり3万円にアップしますと言われても所有者全員が家計的に余裕がある訳でもなくが懐事情的に厳しいのが実情です。ほとんどの住民が受け入れることができないという理由で、管理組合の会で否決されてしまうことケースが多くあります。

結果的に今ある修繕金だけでできることをやるまたは、何も手を付けないといった選択にならざるを得ません。こうなると建物はどんどん劣化してゆくばかりで。売買物件・賃貸物件としても魅力的のない建物になってしまい、資産価値は下がる一方という事にもなりかねません。適切な修繕をすれば長持ちする建物の寿命が一気に短くなってしまうのです。

マンションの資産価値の維持には修繕工事は必須です!

どうしてこうのような無計画な事態に陥るかというとそもそも新築マンションの販売時の修繕積立金の設定に問題があるからです。新築マンションを購入する際に必要な費用は様々あります。物件価格・諸費用・ローン手数料・管理費・修繕積立金などなどです。買主側からすれば月々に支払う費用は少ないに越したことはありませんが買主が選択できるものといえば住宅ローンの金利くらいでその他は売主である不動産デベロッパーが決めたものに従しかありません。

売主側からすれば、管理費はできる限り高めに設定しておきたいものです。というのも、大半の新築マンションを管理するのは売主の系列会社だからです。分かりやすく言うと管理費は、買主が必ず支払わなければならない費用であり、引き渡し後も系列会社に毎月必ず入る売上でグルーブ全体の利益になります。しかしながら、修繕積立金というのは、所有者で構成する管理組合が積み立てるお金で、売主にとっては何雄利益にもなりません。なので、修繕積立金のがくを極力少なくして、買主が支払う月々の総額(ローン・管理費・修繕費などの合計金額)を下げることで購入しやすくするといった思惑があるのです。

修繕積立金の金額はいくらが適切なのか?

国交省は「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」を公表しています。それによると、一般的なマンションでは、専有面積1㎡当たり200円程度の積立が適切です。例えば80平米のマンションなら適正な毎月修繕積立金額は1万6000円程度となります。この程度の積立金を入居したときから毎月均等に積み立てを続けていればおおむね問題ないでしょうという金額です。高層マンションなど、修繕費用がかかる場合はこの限りではありません。

「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」の概要より)

(「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」の概要より)

とはいえガイドラインはあくまで指針に過ぎませんし、強制力もありません。現在でもほとんどの新築マンション販売においては、修繕積立金の方式は「段階増額積立方式」または「一時金徴収方式」であり、「毎月均等」としているところはほとんどないのが現状です。多くのマンションでは徐々に積立金が値上げされたり、一時金を徴収されたりしています。

こうした不具合に気付いて修繕積立金の方式を変更したマンションと、そうでないマンションとが今でも、中古住宅市場において、同じ価格水準で売買されています。これは非常におかしなことで、先進国の中にあって日本だけが抱える問題と言えます。修繕積立金が潤沢にプールしてありで今後においても値上げや借金をする必要がない、経済的にも建物の寿命が物理的にも優れているマンションと、修繕積立金が底をつき今後、値上げをするか借金をするか、あるいは何もできずに劣化し、適切な維持管理がされていないマンションとでは本来同等の資産価値をもち得るはずがないに、現実はこれらが同自レベルで扱われています。

管理組合の議事録を確認して修繕計画やマンションの課題を洗いだす!

 

マンションの議事録をチェックしてみる

「長期修繕計画」や「総会や管理組合の議事録」などの閲覧を求めましょう。マンションの議事録には、そのマンションで議題に上がった色々な問題や課題が載っています。例えば、管理費・修繕積立金滞納の状況がどの程度があるのか?また、どのような対応をしているか、ゴミ置き場や共用廊下、駐車場や駐輪場あるいは外壁など共用部の使い方や建物の状態に何か問題や課題があるのか、今後の修繕はどのように計画されているのかなどのマンションで起きている事情が必ず記載されています。

修繕積立金の滞納が全くないマンションはほとんどありませんし、マンションの規模にもよりますが複数の家族が共同で居住している以上、共用部の使い方に全く問題のないマンションもほぼ皆無です。経年劣化により建物が修繕が必要になるのも当然のことです。要はこうした、マンションの諸々の課題について、マンションの管理組合がどのような姿勢で、どんな取り組みをしているのかを知るという事が非常に重要です。

また「長期修繕計画」を見れば、今後の建物修繕予定が当然、分かりますし、今後、積立金が一時金としての負担が必要なのかまた、積立金の増額が必要なのかも分かります。多くのマンションでは、新築時に売主が策定した長期修繕計画をそのまま変更せずに利用していますが、ほとんどの場合、新築当初から数年の間は修繕積立金を低額に設定しておいて、5年目・10年目・15年目などに段階的に上がったり、多額の一時金を徴収する計画となっています。

買主自身で確認したうえで不明なことがあれば不動産仲介会社を通じて管理組合に尋ねるもしくは、判断しかねることがあれば第三者の専門機関に聞くことも重要です。面倒なことかも知れませんがこうしたことを踏まえながら購入するか否かまたは、いくらで買うのが望ましいかなどの意思決定をするべきでしょう。

但し、「長期修繕計画」や「総会や管理組合の議事録」などの内部書類は、第三者に閲覧させることは義務ではないため、あくまで任意で閲覧をお願いすることになります。逆に言うと、閲覧させてもらえるマンションは自らのマンション管理運営に自信があるとか、情報開示の重要性を理解しているといった組合員が多くいる証拠であり、管理組合自体がしっかり運営が出来ていると言えます。

ではこうした書類を確認できない場合はどうすればよいのでしょうか?

こういった書類を閲覧させてもらえないという時点で大丈夫かなと疑問を盛りますが、まずは中古マンションを見る際には、必ず「共用部」をよく観察するようにします。例えば外壁をチェックしてみて下しさい。分譲マンションの外壁はタイル張りが主流ですが、ざっと見渡してみて、タイルが剥がれているところはないでしょうか?タイルは落下すれば大事故につながる恐れがあります、このような危険な状態を放置していれることも問題ですが、外壁にとってもよくありません。防水としてもタイルが剥がれているのですから躯体そのものが長持ちしません。もしタイル落下などが確認できたら次は、マンション管理組合がその状況を把握しているのかを確認します。把握しているのであれば、それについてなんらかの対処を行う予定があるかを確認しましょう。これは、不動産仲介担当を通じて管理組合に確認してもらってもいいですし、管理員がいれば尋ねてみて下さい。

また、廊下や階段などの共用部も同様です。経年劣化よって徐々に建物が腐食していくのは仕方のないことですが、一定の幅や深さがあるひび割れや、コンクリート内部の鉄筋が水に触れたことで錆び汁がしみだしている現象または内部の鉄筋が腐食により膨れることでコンクリートが落ちているなどを長時間放置しておくと、建物内部を傷め、時間が経過につれて修繕コストは膨大になりますし、建物の寿命を縮めていくことになります。

エントランスまわりの清掃状態やポストまわりの整理整頓具合などもチェックも大切です。マンションの顔ともいえるエントランス部分が綺麗に保たれていないのは、管理人の仕事が行き届いていないからですが、もっと大きな問題はそれを容認している管理組合にあります。管理組合自体がマンション管理についてあまり興味を持っていない。このことは、駐車場や駐輪場、ごみ置き場などの状態にも言えます。掲示板に数か月も前の古い情報が貼られている、貼ったものが破れているなども組合運営の質が見て取れます。

新築マンションに比べて、色々な選択肢がある中古マンションですが、管理や修繕の状況もマンションによって違います。マンション選びというとどうしても価格や立地、間取りに目がいきがちですが、長く住むためには、修繕積立金は将来的のマンションの価値の維持という観点からも非常に重要なマンション選びの要素になります。