屋根材を選ぶポイントは?種類及びメリット・デメリット

屋根材の種類はどれくらいあるの?

家を新築したりリフォームされるほとんど方は屋根材はあまり興味をもっておられません。
ほとんどの方はキッチンやお風呂といった住設やクロスやフローリングなどの内装に興味を持たれます。屋根材に関しては工務店や不動産業者が提案したもの、率直に言うとコストの安いものを使われているケースが大半です。しかし、屋根は常に太陽光線を浴び、過酷な環境で使われる部材です。個人的には断熱などに関しても屋根材で大きく変わるのにどうしてあまり興味が持たれないのか不思議に思うほどです。私は屋根こそ住宅において最も重要な部分だと考えております。

昔のように種類が少なかった時代とは違い最近は色々な種類の屋根材が出て来ています。
昔は屋根といえば瓦だと言われた30年前とは現在の屋根材の主役が変わってきています。
簡単に屋根材の事が調べられる時代ですからぜひとも勉強して頂きたいと思います。

屋根には主に5種類の素材があります。
  1. 粘土瓦
  2. 化粧スレート
  3. ガルバリウム鋼板
  4. アスファルトシングル
  5. 銅板
それぞれの特徴や耐用年数、メリット・デメリットをご紹介します。

粘土瓦

粘土瓦

現在では新築住宅で粘土瓦が使われる頻度はかなり減っています。要因としては瓦は地震に弱い、というイメージがついているのとコストが高くつくことが挙げられます。

粘土瓦には

陶器瓦】…釉薬をかけることで、色を出したり、保護性能をより強くしたりする瓦。
いぶし瓦】…釉薬をかけず、いぶして作る瓦。
素焼き】…釉薬をかけず、焼いて作る瓦。

の3種類がありますが、最も一般的なのが「陶器瓦」です。釉薬を塗ることで水を通しにくく、耐水性に優れています。

耐用年数は50年~60年です。

メリット

  1. 耐用年数が長い
  2. デザイン性が高い
  3. 屋根裏の熱がこもらないので夏は涼しく冬は暖かい
  4. 遮音性や断熱性が高く、家の寿命を縮める結露が起こりにくい
  5. 破損しても一枚単位で交換することが可能
  6. 塗装製品ではないので再塗装の必要がない

デメリット

  1. 屋根材の中では価格が高め
  2. 重量があるため地震の揺れに弱い
  3. 暴風で瓦がずれる
  4. 施工できる職人が少ないので、職人不足がさらにコストアップの要因になる

 

化粧スレート

化粧スレート

化粧スレートとは、セメントなどを主材料として繊維質の材料を織り交ぜてできた薄い屋根板です。スレート屋根は現在の新築住宅で最もよく使われている屋根材です。種類が豊富でコストが安価であることに加え、軽量であることが大きな特徴で、厚さ5mm程度の薄い素材のため、粘土瓦に比べて重量は半分以下です。
耐震性能の観点から見ても、地震の時の揺れが軽減できるので、揺れに対する建物の倒壊リスクが減少します。

耐用年数は25年~30年です。

メリット

  1. 瓦などに比べると工事費が安価
  2. 種類やカラーバリエーションが豊富
  3. 瓦よりも軽くて耐震性・防火性が高い
  4. 軽量のため耐震性に優れている
  5. 最も普及している屋根材なので工事できる業者が多い

デメリット

  1. 割れやすい
  2. 暴風雨に隙間から雨水が入り込みやすい
  3. 色があせやすいので定期的な塗装が必要になる
  4. 2004年以前のスレートはアスベストを含む可能性がある
  5. 水分が滞留しコケやカビが生えやすい

 

ガルバリウム鋼板

ガルバリウム鋼板

ガルバリウム鋼板は、アルミニウムと亜鉛、シリコンによってメッキ加工された素材です。
アルミニウムの特徴は耐食性、耐熱性、熱反射性があり、20年以上の長期にわたり錆を防ぐ屋根材です。
また、43.4%含有の亜鉛の犠牲防食機能により、従来のトタンなどよりも耐久性が格段に向上していて、加工性もいいのであらゆる場所で使われています。コストパフォーマンス高いので、金属の屋根材では最も人気がある屋根材です。

耐用年数は25年~30年です。

メリット
  1. 粘土瓦の約8分の1の軽さのため耐震性に優れている
  2. 金属素材としては錆びにくい(トタンと比べると約4倍の防錆性がある)
  3. 防水性が高い
  4. 耐久性や耐候性能が高い
  5. 複雑な形状の屋根にも対応できる
  6. カラーバリエーションが豊富である
デメリット
  1. キズが付きやすい
  2. 防音性が低いので雨音が響きやすい
  3. 塗装が必要である
  4. 断熱性が低いので断熱対策が必要である

アスファルトシングル

アスファルトシングル

不燃布やガラス繊維であるグラスファイバーにアスファルトを塗装し、さらに表面には、細かな石粒(砂)などを施し、アクリル樹脂で固めて仕上げた屋根材です。
昔はフェルト紙にアスファルトを浸透させていたので、それと比較して数段、耐久性が向上しました。
表面の石粒もキズが付きにくいといったメリットがあります。

アメリカやカナダではよく使われている屋根材で、80%以上の住宅で採用されています。建築基準法改正(2007年6月20日)後、日本でも住宅やマンションに使用されるようになりました。

素材本体の厚さは約6mmと薄くて軽く、防水シート自体が仕上げ材となっているので、非常に防水性が高いです。

耐用年数は20年~30年です。

メリット
  1. 重量はスレート屋根の約1/2と軽量なので耐震性に優れている
  2. 防音性と防水性が優れている
  3. 柔らかく加工しやすいため複雑な形状の屋根にも対応できる
  4. 屋根材の中でも工事費が安い
  5. 差し替えなどの部分修理ができる
  6. 加工がしやすいのでデザイン性が高い
デメリット
  1. 軽量で薄いため、強風で飛ばされる可能性がある
  2. 経年劣化により表面の石が取れたり、破れ・剥がれやすい
  3. 水分が滞留しやすいので表面にカビやコケが生えやすい
  4. 国内では普及していないため、工事ができる業者が少ない

 

銅板

銅板葺き

銅板葺き屋根とは、銅製の板を屋根材にしたものです。
社寺仏閣などの特殊な建築物でよく利用されます。
厚みによって耐久性が変わってきますが屋根材のなかで耐用年数が最も長いのが特徴です。
施工時点では銅板色(10円玉の色)ですが銅が錆びると緑青(ろくしょう)が出て、緑色に変色します。
耐久性は高いのですが酸に弱いので、最近は酸性雨の影響で、屋根に穴があくこともあるようです。

耐用年数は60年以上です。

メリット

  1. 耐用年数が最も長い
  2. 不燃材料なので耐火性に優れている
  3. 錆びても耐用年数が短くならない
  4. 対候性を高めるための塗装の必要がない
  5. 軽いので地震に強く耐震性が高い

デメリット

  1. 工事費が屋根材の中でも高い
  2. 工事ができる業者が少ない
  3. 酸性雨や電食により穴が空きやすい
  4. 断熱性が低いので断熱対策が必要になる
  5. 防音性が低いので雨音が響きやすい

まとめ

最近は屋根材の種類が本当に多くなりました。屋根材は、何を重視するかによって選ぶ屋根材が変わってきます。
コストを重視するのか耐用年数を重視するのかで選ぶべき屋根材は変わります。

コストを重視するのであれば屋根材は化粧スレートやガルバリウム鋼板がおすすめです。また、デザイン性で選ぶのなら、アスファルトシングルや粘土瓦がよいでしょう。耐用年数を重視するのであれば、粘土瓦や銅板がおすすめです。