不動産を購入する時に注意したいものの一つに境界があります。不動産業者のように常に不動産とかかわりがない一般人にはあまりなじみがないと思います。しかし、不動産を購入するとなれば境界は非常に大切なことなのでぜひ知っておりてもらいたいと思います。
①境界とはどういったものなのか?
②不動産の境界トラブルにはそういったものがあるのか?
③境界トラブルに遭わないためには?
④境界トラブルを解決するには?
この3点についてお話したいと思います。
①境界とはどういったものなのか?

境界杭
境界とは読んで字のごとく、土地のさかいです。しかし、この境界に2種類あることをご存知でしょうか?
境界には「筆界」と「所有権界」という2つの境界が存在します。
筆界とは法務局に初めてその土地が登記されたときに土地の範囲を区画した境界です。この筆界はこの土地を合筆や分筆などをしない限り、境界を変更できません。所有者同士の合意だけでは変更できません。
所有権界とは読んで字のごとく、所有者の権利を決めた堺のことになります。これは所有者同士の合意だけで自由に変更できる境界です。
通常は「筆界」と「所有権界」と一致していることが一般的ですが、たまに所有者の意向で一部を譲り渡しているケースなので一致しない場合もあります。
②不動産の境界トラブルにはそういったものがあるのか?

境界トラブル
京都の土地事情は他府県と少し違います。俗にいう、「ウナギの寝床」と言って奥行きに対して間口が狭いという特徴があります。この事情から間口分の境界が少しでもズレると奥行きが長い分、土地の面積が大きく変わってきます。
しかも、京都の土地境界は明確に決められていないケースも多々あります。境界線より工作物(ブロックや塀)で境界を認識されている方もおられます。
京都での境界トラブルとしては塀がお隣の敷地に入り込んでいるとか、ブロックから10cmが境界だと主張されるケースもあります。
面倒なのはこの境界がはっきりしていないと分筆(1筆の土地を2筆以上に分ける)、合筆(2筆以上の土地を合わせて1筆にする)という、登記の変更手続きが出来ません。
境界が明確になっていなくても建物を建て替えることも可能なのですが、後々のトラブルになりますので購入する前にきっちりと境界を確定しておく必要があります。
③境界トラブルに遭わないためには?
境界を確定する場合はお隣同士で境界を確認しあうだけという事もよくあるのですが、将来的なことも考えると費用は掛かりますが、土地家屋調査士にお願いし、隣接地の境界線を確認して、「筆界確認書」まで作成する方がベターです。
この「筆界確認書」は土地の権利関係者すべてが境界を確認してこれで間違いないですと書類に押印までする書類になります。通常はこの筆界確認をした上で、測量をしてきっちりとして測量図まで作成します。
最近の測量は「世界測地系」といってGPSを使って測量を行います。なので、非常に精度が高く、万が一、境界標が無くなっても測量士が再度、境界を復元することも可能です。
ここまでしておけば、隣接地所有者が変わっても境界が確定しているのでトラブルになる事もありません。土地の購入を考えられる場合はできるだけ、筆界確認書まで取得することを考えて下さい。
京都の土地家屋調査士の費用目安は土地の大きさや隣接地の所有者の件数により大きく変わってきますので、境界を土地家屋調査士に依頼する場合は見積りを取ってから検討するとよいでしょう。
④境界トラブルを解決するには?

土地の所有者同士の意向が合わなくて、どうしても境界線が決まらないというケースもあります。昨今、このようなトラブルが多くなってきており、このトラブルを解決する制度として「筆界特定制度」があります。
上段でもお話しましたが、この制度では2種類ある境界のうち、「筆界」を使って境界をはっきりする方法です。筆界特定とは,新たに筆界を決めることではなく,実地調査や測量を含む様々な調査を行った上,もともとあった筆界を筆界特定登記官が明らかにすることです。
筆界特定制度を利用すれば,筆界特定登記官といった公的な判断として筆界を明確にできるので、隣人同士で争わなくても筆界をめぐる問題を解決することができます。
まとめ
京都の不動産は「特殊」と言われていて、他府県とは違った事情もあります。「境界線」「越境」は後々のトラブルに発展する可能性が大きいため、問題がないか事前に確認し、問題がある場合は軽く考えずに費用がかかっても、問題を解決させた上で購入することをお勧めします。
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